白の影 黒の光
プロローグ − 始まりの日
かつて世界は一つであった。
空を往く者
地に潜む者
二つの種族が一つの世界で暮らしていた。
しかし、相反する二つの種族は争いを繰り返した。
緑の森を焼き尽くし、大地は血で染まり、空は暗雲で覆われた。
世界が死んでいく。
それでも彼らは争うことを止めようとしなかった。
神は嘆き悲しみ、一つであった世界を二つに分けた。
天の国
地の国
時の流れぬ立ち止まった世界。
それが、神が人々に与えた「罰」であった。
永遠に変化のない世界で人々は今も生き続けている。それが「罰」だと気付かないまま――。
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